ホクロ切除までの顛末

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この記事は私の実体験に基づく記事ではありますが、あくまで私主観かつ記憶を頼りに書き起こしたものに過ぎません。 私は医療関係者ではありませんし、専門家の監修を受けているわけでもありません。 医学的な正確性などは一切保証できませんのでご了承ください。

ホクロで髪が押しのけられています

私の頭には生まれたときから大きなホクロがありました。 ホクロといっても本当にホクロなのかってサイズです(写真参照)。 しかも、はじめは黒いシミのようなものでしかなかったのですが、 徐々に盛り上がってきて立体的になってきました。 さらに、これで安定したかと思うと、 大学生になった当たりから、はじめは黒かったホクロが徐々に肌色に変色し、 その大きさも徐々に大きくなってきました。
実際それまでは丸坊主にでもしない限り、遠目では分からなかったのですが、 大きくなった影響で周りの毛が押し倒され、そこをよけるように毛並みが出来てしまい、 多少髪を長くしてもホクロ部分が剥き出し、 しかも、色が肌色のため遠目でもはっきり分かってしまう程になってしまいました。

アップ画像:画像1画像2
(注:頭部のホクロのアップ画像です。気分を害する可能性があります。覚悟の上でご覧ください)

ずっと悩んでいましたが、2006年3月15日切除手術を受け、ホクロを切除しました。 ここではどういう顛末で切除にいたったのかを紹介したいと思います。 似たような症状で悩んでいる方の参考になればと思います。

とりあえず診てもらおう

まず、でかくなってきたと言うことで2004年の冬あたりに、一度皮膚科に行ってきました。 すると、

「これはただのホクロ、別に放っておいても問題のないもの、もし手術するとなると、 頭皮はのびないので紡錘型に切って縫い合わせるのは難しく、皮膚を大きくはがして縫い合わせることになる。」

と言われ、ちょいビビり。じゃあ放っておいてもいいかな、って事で放置。
ちなみに、これだけの話を聞くだけに3千円以上とられたのは大病院だからだろうか。

再度チャレンジ

一度は諦めたものの、やっぱり気になるので病院に行こうかどうか悩みます。 皮膚科の先生がああいってるけど、整形外科ならどうだ?ということで、 近所にある整形外科に電話をかけることに・・・

1件目
 「あー、うちではそういうことやってませんねぇ」
2件目
 「うーん、小さいやつだととってるんだけど、頭皮はのびないからねぇ・・・先に皮膚科に行ってみたら?」
というわけで、やっぱり皮膚科ですか・・・

2006年2月18日 皮膚科

というわけで、近所に皮膚科小児科というのがあったので、そこで見てもらうことに・・・ 中年の女医さんでした。

「うぁ、これは大きいですね・・・おそらくホクロの一種だと思うんですが、 1cm程度までならここでも手術してとっちゃうんですけど、 1.5cmともなると傷口は5cm位になって、頭は出血量も多いし、ここで私一人で手術するのは難しいです。 傷口を目立たなくする技術とかも考えると大きな病院の形成外科の方がいいですね。 そちらに行けば悪性のモノかどうかの検査もしてもらえますので」

ということで、形成外科へ紹介状を書いてもらい、さらに写真まで撮ってくれた。 (ちなみに、この手の手術は形成外科で整形外科ではないそうだ。要注意)
親切なお医者さんでした。 ちなみに、紹介状を書いてもらって初診料込みで、1,680円でした。

2006年2月20日 形成外科

形成外科までやってきました。
ちなみにこのあたりは郊外型で車でもないと非常に交通の便が悪いが 私は自動車をもっていない上ペーパードライバーなため自転車、電車、バスを乗り継ぎやってきました。

形成外科のお医者さんは結構若い感じ、30代前半ぐらいの男性医師(女医の対義語は男医だと思うのだがそんな言葉は無いのね)
「あー、これはクロかな~?(ホクロのことらしい)とるのは簡単ですね。
とり方としてはこうやって(絵を描きながら説明してくれた)紡錘型に切って縫い合わせる方法と、
切り取った先をZ型に切って、はがした皮膚をとったところにかぶせて縫う方法があります。
後者はもっと大きなモノをとったときに負担が少ない方法ですが、このくらいの大きさだとどっちでも大差ないでしょう。 どうします?」

「簡単な方でお願いします。」

「そうですか、では手術日は今の予定だと3月15日があいてますがそこでいいですか?」

「お願いします。」

「では、手術の前に検査と詳細な説明をするので、ご家族の方と一緒に来てください。」

(か、家族を呼べって・・・ガンですか!?ガンなんですか先生~~!!とは突っ込まなかった)
「あ、手術ってどれぐらいの費用がかかるんですか?ネットとかで調べたら、1mm 1万円とかあったんですが・・・」

「うーんと、皮膚腫瘍の切除扱いになるから(ぺらぺらと資料をめくる)、3cm以下ってことで1280点の3割負担、前後の検査とか薬代とかもありますけど、 全体で2万円を越えることは無いでしょう。 レーザーとか使うと、保険がきかないから凄く高くなっちゃいますけどね。」

で、終わってから看護婦さんから、さらに制度上の説明を受けることに、 どうやら次回の検査時に家族の了承を得て同意書にサインをする必要があるらしい。 これは説明を受けた後、家族に説明して代理署名という形でもいいらしい。
しかし、手術当日はいくら日帰りの手術とはいえ、無事に家まで送り届ける付添人が必要らしい。 そんなんいません、というと、同僚とかでもいいので探しといてください。

戻ってきたが、そんなやついるわけねぇよ。
土曜日とかならまだしも、水曜日だよ・・・
実家は兵庫県、ここは栃木県無理無理・・・
って病院に電話かける。(なぜか、形成外科お願いしますと言ったら整形外科につながれ話がつながらず一悶着)
やむを得ないので特別に許可をもらう。

って親父にSkypeしたら(電話じゃないのでこういう言い回しを使ってみたが変だな) なんか知らんが来る気満々。 付添人不要になったって言うのに、やっぱり来る気満々。

ちなみに、この日の診察料は1,220円

2006年3月4日 形成外科 検査

というわけで、詳細な説明と検査を受けに来ました。
まあ、手術の方法は前回の通りと言うことで、(描いてもらった説明図) いろいろ質問してみました。

Q: 抜糸までどれくらい?
A: 10日から14日ぐらいですかね、手術当日は入浴やお酒を控えて、頭を洗えるのは3日目ぐらいからです。

Q: 術後の通院は?
A: 手術翌日に一度傷口を消毒・確認します。問題が無ければ抜糸まで通院の必要はありません。

Q: 傷はどれくらい残る?
A: 1mmから2mmの線状の切った痕が残ることがありますが、毛並みとかも考えて切るので、痕は目立たないと思います。

Q: うちの家系ハゲるんですが。
A: そういうことを心配する人はあまりいませんねぇ(笑)。そういうときはここに育毛外来があるのでそちらをどうぞ。

Q: 頭は剃るんですか?
A: 切り取る部分の周り1cm位を短く刈ります。剃ったりはしません。 剃ってしまうと毛の生えている向きが分からなくなってしまうので綺麗に切れなくなってしまいます。

Q: 痛みってどれくらい?
A: 手術自体は麻酔をするので全く痛みはありません。 術後は人によって違いますが、傷自体はそれほど痛むって人はいませんね。 切ったことによって内出血が起こって血がたまったりした場合に、 たんこぶが出来たときのような痛みが出ることがあります。 いずれにせよ、痛み止めを出しますので心配しなくても大丈夫です。 あ、一番痛いのは手術の麻酔でしょう。

あとは血液検査とか、3本程血を採られて、血の止まりやすさを検査するため 耳たぶに小さな穴開けられて血が止まるまで放置して時間計測。問題なし。

ちなみに、この日の診察料は3,020円でした

2006年3月15日 形成外科 手術当日

やってきました。手術当日です。
ちなみに親父がやってきました。おかんに黙って計画していたらしく一悶着あったそうだ(笑)
外来が混んでいて開始が10分遅れるとのことでしたが順調に開始。

事前に患者の確認のために手首にバンドをはめまして、 手術室にやってきました、手術室で手術を受けるのは初めてですが、 まさにドラマとかで見る「手術中」っていうランプのついた入り口です、変なところで感動。
手術室に入ると、サポート役とおぼしき看護師さん2人とご挨拶。 二人とも若い女性ではあるのですが頭が私の胸元以下、 私は日本人男性の平均身長よりわずかに高いぐらいで高身長という訳でもないため、 失礼ながら一瞬子供かと思っちゃいました。
少し驚いたものの、それはともかく、手術室入り口すぐにラインが引いてあってそこで靴を脱ぎます。 管轄がこのラインで分かれているみたいで、外来の方の看護師さんはここまでしか入れないみたいです。
中にはいるとカーテンで仕切られた試着室みたいなところに通され、手術着に着替えます。 パンツ以外全部脱ぎます。

続いて手術台に仰向けに寝るように言われます。そして右腕には血圧計、左手には心拍計、胸には心電図用電極、とかなり本格的。 そして点滴をするらしく左腕を縛られます。そして、執刀医っていうか形成外科の先生と話をしながら頭の位置とかを確認。

で、気が付いたのだが、一人の看護師さんがずっと左手を見ている・・・?
「あ、心配しなくても大丈夫ですよ~~」
いや、何やってるんですか?
「ではちょっとちくっとしますよ~」
全然ちくっとしないんですけど・・・どうやら、点滴を打つためずっと血管を探っていたようだ。 もう一人の先輩とおぼしき看護師さんと医者もそろって見守っています。二人ともいろいろと理由を言ってフォロー
どう考えても点滴打つの初めてとかそんな感じなんですが、まあ、そういう人もいるかな? って思ってたら、ちくっとしました。しかしなかなか腕を放してくれません。
「あ、ごめんなさいね~」
いや、針刺してからぐりぐりしないでください。痛いです。 で、やっぱり駄目だったらしく、先輩看護師が刺すことに。 まあ、命に関わるようなところじゃないからいいけど。 誰かは実験台にならなきゃ育たないわけだし。
(ただし、一度や二度ならともかく、これを短期間に何度も繰り返していると、注射できなくなるほど血管が痛んでしまう場合もあるらしいので、 何度も失敗される場合はちゃんと別の人に交代してもらうようにお願いしましょう。とある人の闘病日誌みての補足)

で、準備が終わりまして、緑色の布を体にかけられ、次に患部だけ穴の開いた同じような布を頭からかぶりました。 体勢は手術台を起こして、座椅子に座っているような感じです。
「では、麻酔します。痛いですけど我慢してください。」
って、痛いといっても注射でしょ、と思っていたけど、これは痛い。 それなりに身構えているのに、思わず「グワッ」とか言いそうになっちゃうぐらい。 刺すときは普通の注射よりも痛い程度なのだが、 刺したところから薬が広がっていく感じで痛みがじわっと広がる。感覚がなくなる直前の断末魔みたい。 これを3~4発食らいます。部分的に感覚がない麻酔独特の気持ち悪さが広がります。
「どうですか~大丈夫ですか?」
あ~、ちょっと患部が重い感じで、首が苦しいような・・・
あれ?吐き気が・・・
「吐き気します」
「大丈夫?どんな感じ?苦しい?」
とか何とか言われますが、もう答えられません。 ものすごくくらくらして苦しい感じで、呼吸も乱れまくり。 貧血になった事のある方なら、意識がとぎれる寸前の状態で、 意識がかろうじてもっている状態といえば分かってもらえるだろうか? 手術室が騒然とします。

血圧いくつ!?80?○○打って!手術台倒すよ!頭を低く!!

おお、なんかテレビとかで救急医療の特集とかで見るような対応、 私は意識レベルが低下しているため細かく覚えておりません。 どうやら血圧が急激に下がったらしく、血圧を上げる薬を打って頭を下げて何とか症状が落ち着いたみたいです。
「う~ん、今日緊張していた?昼ご飯食べた?」
いや、昼ご飯は食べちゃ駄目って指示したでしょう、とかそんなことは関係ないんじゃ? ま、ともかく座った体勢で首とかに負担がかかってたのも原因だろうということで、うつぶせで手術を受けることに。
点滴は刺したまま、うつ伏せに回転します。

なんだかんだでやっと手術が始まりました。麻酔が効いているので痛みは全くないのですが、 ジョキジョキとかジュッジュッって切ったりしてる音とか、振動とか、喪失感だけ感じるのでちょっと恐いがあっさり終了

終了すると、顔を押しつけていた枕みたいなやつに血がべっとりでちょっとビビり。 切除したモノを見るかと聞かれましたが、そんな元気はなく遠慮することに。
「切り取ったモノは組織検査に出しておきますから」
とのこと

手術よりもその前のハプニングで体力を使い尽くしていた私は、術後も車いすで運ばれ、 外来で点滴を受けながら1時間程休息をとってから帰ることに。 いや親父がいてよかった。 一人だったら確実に体力が回復するまで帰れないところでした。

本日の費用は8,190円
もらった薬は痛み止めとそれと一緒に飲む胃薬を5回分、そして化膿止め4日分。

手術が終わって

術後3日目
まだ髪が分かれているのは
手術の時刈った影響

傷口は言われたとおりほとんど痛みません。 さすがに手術当日は何となくちくちくしてきたので痛み止めを飲みましたが、全数消費することはなくすみました。 (余った薬ってどうすればいいんだろうか?)

翌日以降は、皮を引っ張るような事をするとさすがに痛いですが、それもはじめの数日だけ。 あと、ちょっと傷口がかゆいですが我慢できる範囲。
本当に3日目から頭も洗えます。 まあ、洗えるかどうかってのは自分の判断でしかないですが、 3日目はおそるおそるシャンプーなしでシャワーで流す感じ。 4日目は傷口をさけて洗う、5日目からは傷口を動かさないように気をつけて洗ってました。
髪を刈っていますが、遠目で見ると分からない範囲です。

術後3日目のアップ画像:画像1
(注:頭部傷口のアップ画像です。覚悟の上でご覧ください)

2006年3月16日 形成外科

手術の翌日、傷口の検査にやってきました。 ガーゼをはがして、問題なし。 傷口の保護用にスプレー式の薬をかけられて終わり。 翌日から頭を洗ってもいいとのこと。

ちなみに、この日の診察料は220円

2006年3月28日 形成外科 抜糸

やっと抜糸の日がやってきました。 ある程度直ってくると、糸が入っているせいか体温が上がったりしたときかゆいです。 ニキビをつぶしたくなるのと似たような衝動に駆られますが、 そんなことをすると惨劇が待っているのは分かってるのでやりませんが。

で、診てもらうと傷口は全く問題なし、糸を抜いてもらいます。 このときちょっとちくちくする感じですが、痛いって程じゃないです。 ブチプチと糸が抜かれていきますが、結構数が多いような10針以上は縫ってたのかな? で、何の問題もなく抜糸終了。

さて、切除した部位の組織検査の結果ですが、 何の問題もなく、ただのホクロで悪性の兆候なしとのこと。 母斑細胞性母斑とか言うんだそうだ。 その母斑細胞が増殖した結果ふくれていたものということ。 そして、切除した部位にはその細胞がないということで その細胞も残らず切除できたという結果でした。

ちなみに、この日の診察料は220円

抜糸翌日(術後2週間目)のアップ画像:画像1
赤みが残っているもののはっきりと何処を切ったのかはもう分からないレベルです。
(注:ほぼ直っているとはいえ頭部傷口のアップ画像です。覚悟の上でご覧ください)

切除終わって

ずいぶん悩みましたが、気になるモノがなくなるというのはとても嬉しいですね。 いくら生まれたときからあるとはいえ、自分では見えないところに明らかに異常なモノがあって、 かなりでかいので触るとはっきり分かるのです。大きくなり始めてからは圧迫感というかも感じていて 非常に気持ちの悪いモノだったので、本当にとってよかったと思いました。
頭の中とはいえそれなりに目立つので、いろいろと周りの人にいじられたりしましたけれど、 もう人目を気にする必要もなし。 いつかガン化したりするのではと心配する必要もありません。
本当にすっきり。

本当に傷跡が消えるまでは数ヶ月かかるでしょうが、見た目にはすでに見えませんし、 髪の毛がもう少しのびれば、自分でも何処を切ったのか分からないでしょう。

全体を通して特に大きなトラブルもなく、 よいお医者さんにも恵まれたと思います。

はじめの紹介状を書いてもらうところから、最後の抜糸までかかった費用はトータルで14,550円でした。